『GAME』(一護、高校生。冬獅郎、小学生)

雨の日の日曜日、外に出るのも億劫なので今日は二人でテレビゲーム。
冬獅郎の好きなアクションゲームをかれこれ2時間やっていた。
他にもたくさんソフトはあるのに、冬獅郎は一回やりだすととことんやり込むので
すぐ飽きる一護には少々辛い。

『なー、冬獅郎ー、もう別のやろーぜー…』
『もぅちょっと!』
『ってずーっとやってんじゃん』
『うっさい!』
『もーマリオ見たくねえ……』
『あっち行ってればいいだろ』
『へいへい…』
『あー…またゲームオーバー…おい!一護が話かけるからだぞ!』
『あぁ?オレのせいじゃねーだろ!』
『お前のせいだ!あっちいけよ!』
『…んだよ…かわいくねえな…』
『うるせぇ!』

隣に座っていた一護を追い出し、コントローラーを握り直して再スタート。
一護はリビングの椅子に座って冬獅郎がゲームをクリアして満足するか、放り出して諦めるまで待つことにした。
時計を見ると11時半になろうとしていた。
妹達は父親と最近出来たショッピングモールへ買い物に行っている。
昼ご飯を用意して行こうとする遊子に、一護は『適当に食うからいいよ』と言って
送り出した。
一護だって多少食事くらいは作れるし、冬獅郎はあまり凝ったものが好きではないし…要するにお子さまということだ。

(そろそろお腹空くだろな…)
と思い、一護は立ち上がって昼食の用意を始めることにした。
ホットケーキを焼こうと、粉とミルクを混ぜながら冬獅郎に目をやると
そろそろ目が痛くなってきたのか、たまに目をしぱしぱさせて
一時停止なんてしながら両手で目こすったりしている。
(負けず嫌いなんだよなぁ…)
そこがいいところだとは思うけれど、とばっちりを食らう身として一護は苦笑するしかなかった。

そして、フライパンに生地を流し込んで、部屋にいいにおいが充満してくると、
「ぐぅぅ~」
っと可愛らしい音が一護の耳に聞こえた。
そっと振り返って冬獅郎を見ると、

『…ん…』

夢中になり過ぎて、においに反応するまで空腹に無自覚だったようだ。
コントローラーと自分のお腹を交互に眺めて。

コントローラーを床に置いた。

その一部始終が可愛くて、一護は思わず微笑む。

冬獅郎は首だけを巡らせ、一護の方を見た。
とてもいいにおいが部屋に満ちていて、ちょうど一護が大きな皿を二つ持って
ダイニングテーブルへ並べるところだった。

首を伸ばしてテーブルを覗き込むと、ほかほかの冬獅郎の大好きなホットケーキ。
一護は頬杖をついて冬獅郎を待っている。
冬獅郎はすぐに立ち上がって、テーブルまで来ようとするが、

『ちゃんと電源消してこいよ』
『う…うん!』

一護に注意されて、慌てて戻る。

つけっぱなしのゲームの電源を消して、
テレビもちゃんと消して、
たたっと一護の方へ駆け寄って行く。
とすんっと一護の隣へ座って、暖かい湯気を胸いっぱいに吸い込んだ。

『うまそー』
『お前腹減ってんのも気づかねーでゲームやってんだもんよー』

笑いながら一護に頭を小突かれ、冬獅郎は恥ずかしそうに頭を押さえながら、首をすくめた。
一護がテーブルに並んだ2つの小瓶を指差して、

『メープルシロップとジャムどっちがいい?』
『どっちも』
『……そ』

シロップもジャムもどっちも塗れと言う冬獅郎に、
(ほんっと甘いもん好きだな…)
と内心呆れながらも両方の瓶を開ける。

『早く!』

フォークを握りしめた冬獅郎は、早く塗れとは言いながらも、今にもケーキにフォークを突き立てそうな勢いだ。

『へいへい…』

ジャムとシロップまみれになった目の前のホットケーキに、ぐさりとフォークを刺して、口いっぱいに頬張った。

『うめぇ』
『甘い…じゃなくてか…?』
『ん?うめー』
『あー…そぅ…』

見てるだけでお腹いっぱいになりそうな冬獅郎のホットケーキから目をそらし、一護は自分のにも適量のシロップをかけた。

『おー!さすがオレの焼いたホットケーキだ!すっげうめー』

口の周りをシロップとジャムでべたべたにしながら

『オレだって作れる!』

と言う冬獅郎。

以前一緒に作った時は、あわやスプリンクラーが発動してしまうところだった。

『お前はいーんだよ。お前は食うの専門で…』

あれ以来冬獅郎が焼いていいのは食パンだけになった。もちろん専用のトースターで。

そろそろ食べ終わるかというところで、一護は思い出したように、

『あ、冬獅郎!食ったら外行こうぜ?』
『…う?なんで?』
『お前が使いすぎて明日の朝のジャムがないんだよ…』
『じゃあ今度は違うのがいい』
『おう たくさん買っとくか』

どうやら今日はもうあのイタリア人兄弟が暴れ回るゲームをやらなくて済みそうだ。
一護が食器を洗っている間、冬獅郎はゲームの片付けをきちんとしていた。
雨だったから外に出るのは面倒だな…なんて思っていたが、どうやら雨は上がっているらしかった。
また降り出すかもしれないので大きめの傘を一本持って家を出た。
水たまりに飛び込もうとする冬獅郎の襟首を掴んで引き戻しながら、スーパーまでの道を歩いていると、

『あ!虹だ!』
『ほんとだ。キレーだな』
『すげー!』

すっかりはしゃぐ冬獅郎、気がつくと一護の手をぎゅっと握って、頬を紅潮させながら雨上がりの虹を食い入るように見つめている。
とても可愛らしいその姿に一護は釘付けになってしまった。

二人で虹を見上げながらまた歩きはじめた。

スーパーに着く頃には虹は消えてしまったが、スーパーの中に入ってしまえば今度は冬獅郎の興味はずらりとならんだお菓子達。

『冬獅郎…家におやつあるから今日は買わねーぞ』
『えー…』

ちょっとがっかりした声を出した冬獅郎だったが、
ジャムやシロップの陳列棚の前に来ると今度は一生懸命指差して、あれがいい、
それが欲しいと言い出した。

あれこれ言いながら二人で選んで、かごには10個もジャムが入ってて。
(買い過ぎかな…?)
と一護は思ったが、かごの中を嬉しそうに眺めている冬獅郎を見たら、棚に戻すことが出来なくて。
(ま…いっか)

次の日の朝食には所狭しといろとりどりのジャムが並べられて、全部塗ると言って聞かない冬獅郎をなだめるのに一苦労。

 

 

なんかもう黒崎家の養子ですね隊長ったらw
いやむしろそれが理想!!!

昔、いてやは食パンにマーガリン塗って、砂糖振って、蜂蜜かけて、イチゴジャムをトッピングして食ってた。
今の味覚音痴はそのせいなのか…。