『イブイブデート2』

『あ…』

外は既に真っ暗になっていて、建物や乗り物にはたくさんの明かりがともっていてキラキラ輝いている。
クリスマスというやつだからか色もカラフルで、色んな形にかたどられた電球がとてもきれいだった。

『きれいだろ?』

不意にうしろから一護の声かした。
風景に夢中になっていて、一護が戻ってきたことにオレは気づかなかったらしい。
そんなオレにむかって、一護は微笑みながら近づき、少し屈んで窓を覗いた。

『ここからだとすっげぇきれいなんだ それに遠くまで見えるだろ?』

お前小さいからな…なんて言われてちょっとむっとした。
確かにこの窓の高さはオレにぴったりだったから。
外を眺めている一護にならい、オレももう一度窓に目を向けた。
本当にきれいだった。
あたたかな色合いの灯りが多く、しばし寒さも忘れ二人で光を観賞した。

しばらくそうやって、二人とも無言でいたが、ふと灯りが先ほどより弱くなっているような気がした。
よく見れば、少しずつ灯りが消えて行っているようだ。

『あれ?一護!電気が消えてくぞ?』

今までキラキラ輝いていたそとの景色がどんどん暗くなり、建物や人々が闇に包まれていく。
必要最低限と思われる明かりしか残さず、あとはすべて消えてしまった。
オレは少し寒さを感じて、ぶるっと方を震わせた。

『冬獅郎さ あんましこーゆーの見たことないだろ?せっかくなら明日連れてきたかったんだけど 明日はすっげー混んでるだろうし、もし入れなかったらお前に悪いから一日早いけどクリスマスしようと思ってさ』

一護が静かに、とても優しい声でそう言った。
確かに今日ですらすごい人混みだったのに、これ以上混雑していたら、オレのことだ、とんでもなく不機嫌になって、一護に当たり散らしていただろう。
そこまで一護に気を使わせてしまっていることに、少し申し訳なくなって、オレは何も言えなかった。

『……』
『ケーキ買ってパーティとかなら明日でいいし、でもここのツリーがすっげえきれいから、お前にも見せたくて…』

この場所もちゃんと調べたんだぜ?
なんてすこし照れくさそうに言う一護に、胸がどきどきしてしまった。

現世でクリスマスは恋人同士が過ごす日で、記念日的なものだという知識くらいはある。
そしてそれは明日だということも知っていて、一護が明日はオレじゃない人と過ごすかもしれないなんて思っていたりもして…。
別にこんなお祭り的なことが大切だとか、そういうんじゃないけど。
でも、今の一護の言葉で、自分の勘違いと共に、一護がどれだけオレのことを考えてくれているかに気づかされた。
でもやっぱり恥ずかしくて、素直に感謝の言葉が言えず、またオレは『ここにツリーなんてねえじゃん…』と余計な一言を言ってしまった。
そんな相変わらずなオレに、一護は

『まぁ、もう少し待ってろって』

と言って笑ってオレを見た。

一護から目をそらし、窓の外を覗くと、ふいに後ろからそっと抱きしめられた。
びっくりして振りほどこうとしたが、一護はぎゅっと力を込めてきて『いーじゃん…』とささやいた。

『いちご!』
『誰もここには来ねぇから…』
『でも…』

誰かに見られたら…と思うと落ち着いていられなくて、オレはじたばたともがこうとした。
だがしっかり抱きしめられたオレの背中に一護のぬくもりが伝わってきて、それがとても心地よくて、オレはしぶしぶおとなしくすることにした。

ここは一護が言うように、確かに死角になっていたし。
そのうち、何やら大きな音楽が聞こえてきて外が騒がしくなった。

『ほら…冬獅郎、外見てみろよ』

言われるままに顔を上げて、外を見ると、大きな湖の上をきれいな光がぐるぐるまわっていた。
灯りがついたり消えたり、音楽に合わせてゆっくり動いている。
あれは小さな船か何かだろうか…。

『きれいだろ?」
『あ…あぁ』

すっかり一護に抱きつかれているのも忘れ、オレは眼下に広がるきらびやかなショーに見入ってしまった。

どんどん明かりは大きくなり、いつの間にかものすごい数になっていて。
音楽や歌がとてもロマンチックな雰囲気を醸し出している。

花火が上がり、美しくライトアップされた湖、そして最後に真ん中のおおきなおおきな光のクリスマスツリーが点灯した。更にその光のツリーが虹色に輝き、吹き出した水に光が反射してとても幻想的だった。

初めて見るものばかりで、オレは素直に驚きの声や、歓声をあげてしまっていた。一護のオレを抱きしめる腕の力が少し強くなった。
思わず振り返ってしまい、一護と目が合ってしまった。
慌てて外に視線を戻し、適当な感想を述べた。

『きれーだな…』
『だろ?これ見せたくて…』
『うん』
『終わっちまったな』
『うん』
『冬獅郎』

一護の腕が片方外され、その手がオレの頬をなでて、首だけ後ろを振り向かせられた。

オレは抵抗はしなかった。
そのままゆっくり触れるだけのキスが落ちてきた。
唇が離れると、オレは恥ずかしさのあまり、顔を伏せてしまった。
きっと耳まで真っ赤になってしまっているだろう。
今度は体ごと一護の方に向かせられ、もう一度ゆっくりと唇を重ねられた。
優しく抱きしめられて、キスを繰り返す。
オレは立っているのもままならず、思わず一護の背中に手を回してしまう。
いx比後の優しい声が降ってきた。

『冬獅郎』
『……』

オレは返事も出来ず、一護の胸に顔を押し付けた。

なんだかキラキラした明かりをずっと見ていたせいで、どうやらオレはおかしくなってしまったらしい……。
普段なら外でこんなことするなんて、絶対に許さないのに。
きっとぐるぐる回っていた変な光に、魔法でもかけられたんだ。
じゃなきゃこんなに素直に自分から一護に抱きつくなんてあり得ない。

自分から抱きついてしまったせいで、恥ずかしくて離れられず、かといってこのままでずっといる訳にもいかず、オレはすっかり困ってしまった。
もぞもぞしていたら、一護が動いてくれた

『さっきおやつ食ったけどお前まだ食えるだろ?だいぶ冷えちまったしどっかであったまろうぜ?』
『…う…ん』

真っ赤になってしまっているであろう顔が光にさらされるのは嫌だったが、ここにいても寒いだけだし、なんだかぼうっとしてしまっていて、否定する気にもなれなかった。

すぐに動けずにいるオレの手を、温かい大きな一護の手が包み込む。
すっぽりと包まれたオレの手は思っていた以上に冷えていたらしい。

一護に少し引っ張られるようにして、やっと歩きだした。
寒くて足もかじかんでしまっていて、ひょこひょこと変な歩き方になってしまい、
一護に笑われた。

『なんだよ!笑うな!』

といいながら、オレは思い切って勢いに乗せ、一護の腕にしがみついた。
自分の行動に自分が一番驚いたが、オレは今日はおかしくなってしまっているんだ、と言い聞かせ、そのままぎゅうっと手に力を込める。

『冬獅郎…』

一護が驚いたように立ち止まった。

周りにはたくさん人がいたけど。
暗いし、誰も自分たちのことでいっぱいで、オレ達のことなんて見てないだろう。
それに、悔しいが小さな自分と一護では、小さい弟が兄に甘えているようにしか見えないだろうから……。
オレはうつむいたまま、先ほどから言いたくて、なかなか言い出せなかった言葉を口にした。

『ありがと…いちご…』

言ってから、そっと一護の表情を伺うと、ふわりと一護が笑った。
目をそらすことが出来ないくらい、大好きな一護の笑顔。
空いている手で、一護がオレの頭をぽんぽん叩きながら言った。

『明日はクリスマスケーキ食おうな』
『うん』
『お!花火だぜ!綺麗だな…』
『うん』

遠くであがる花火を見ながらゆっくりと歩き出した一護に、オレは腕を離そうと思ったが、やめた。
しがみついてる手を離したら、もう自分からは出来ない気がして…。
せっかく一護が普通の日を特別な日にしてくれたから。
黙りこくって、おとなしく一護について歩いていると、一護が『一番遠いレストランまで歩こう』と言った。
せっかくだから、パークの中を全部歩いて見て回ろうと。
そんなことをしていたら、食事が出来る店が閉まってしまうのでは…と疑問に思ったが、言わなかった。

閉店になっててもいい。

二人でこのまま歩けるなら、温かい場所なんて今はいらない。
一護から伝わってくるあたたかさと、大好きな一護のにおいにこのまま包まれていたかったから。

人通りが少し少なくなったところで、オレは一護の腕に頬をすり寄せた。

一護が微笑む気配がして、オレはまだ魔法にでもかかっているのだろうか、一護の顔を見上げ、じっと一護の瞳を見つめた。
たぶん、その後オレは一護に向かって微笑んだ……と思う。

 

 

 

あの場所に行くとね、一護さんと日番谷さんがいちゃこらデートをしてる姿しかみえないんです。
はしゃぎまくる一護さんと、はしゃぎたいのに恥ずかしがってるチビちゃんが…もうv
ふたりしてカチューシャつけて走り回ってください。