『幼稚園児のお正月4』

みんなでこたつに入って年越しを待つ

冬獅郎はオレの膝の上
なんだかわくわくはしているようだ

着けっぱなしのテレビでカウントダウンが始まる
やかましい音楽と画面いっぱいに数字が映し出され、数が一つづつ減っていく

『ほら冬獅郎!あと30秒だ!』
『なんかドキドキするねかりんちゃん』
『もー少しだなー21 20……』

冬獅郎は10以上数えられない上に数が減るのは未知の世界だ
だまってじーっとテレビを見つめている

3…2…1…

画面が切り替わり 大きな花火が大空に盛大に上がっている

『いちご!はなび!』
『ほら!冬獅郎年が明けたぞ?』
『なにあけたんだ?』
『うーんと…らいねんになったんだ』

きょとん顔だ

『らいねんになったのか?なにが?』
『冬獅郎?ずーっと前の雪降ったとき覚えてるか?』
『う…?』
『あんとき1月だったろ?また新しい1月が始まったんだ』
『ふー…ん いちがつがまたきたのか?またゆきだるまつくんのか?』

まぁこれ以上説明しても無駄だ

『ああ 雪降ったら作ろうな?』
『かまくらつくる!』

雪だるまじゃなくていいらしい
冬獅郎が入れるくらいのかまくらが作れるほど雪が降るだろうか…
なんて考えていたら

『おにいちゃん 冬獅郎くん 明けましておめでとう!』
『いちにい!冬獅郎!おめでとう!』
『冬獅郎くーん お年玉たっくさんあげちゃうからなー』

不思議そうな顔をしている冬獅郎に

『年が明けたらあいさつするんだ』
『うん』
『明けましておめでとう!冬獅郎』
『あけまして…おめれとー…』

噛んだ…かわいい…

『今年もよろしくな?』

こくんと頷く冬獅郎

『さぁ 朝は初日の出見に行かなくちゃ!』
『よし!とりあえずみんな寝るぞ!』
『あ!親父!オレは冬獅郎いるから…留守番してるから』
『なんで!冬獅郎くんも連れてくればいいじゃないか!』
『こいつもうこんな時間まで頑張ったからさ…朝は絶対起きねえし、無理矢理連れてくのもな…』
『そーだよねー 冬獅郎くんがんばったもんねv』

生まれて初めて日付を跨いだであろう冬獅郎はというと 既にうつらうつら始めている
しっかり冬獅郎を抱きかかえ直し、頭をなでてやると とうとう瞼が完全に閉じた

『オレ こいつ寝かすから 朝気をつけて行ってこいよ』
『うん!おにぃちゃんお留守番お願いね 帰ったらみんなでお節たべるから』
『おう』
『おやすみー』
『おやすみ!いちにぃ』
『冬獅郎くん おじさんと寝ないかなー…?』

シネ親父

すやすやオレの腕の中で眠る冬獅郎をそっと部屋まで運ぶ

昼間からずっと下にいたから オレの部屋は寒かった

(あっためときゃ良かった…)

せっかく冬獅郎用のベッドを用意してくれたんだから そちらに寝かそうかとも思ったが、起きたら泣くだろうし、何よりオレがこいつと一緒に寝たかった
布団も冷たいから二人で寝た方があったかいしな…なんて心の中で言い訳しながら…

ベッドにとりあえず冬獅郎を寝かし、オレは急いで着替える
布団がひんやりするのか 少し身じろいで丸くなる冬獅郎…
いかん…犯罪起こしそうなほどかわいい…

いそいそ冬獅郎の傍らに滑り込み あったかい冬獅郎を抱き寄せる
ちっちゃな手が無意識にオレのシャツをつかんでふかふかのほっぺがすり寄ってくる
多分ものすごく気持ち悪い顔をオレはしてるだろうと自覚しつつ
冬獅郎の髪に顔を埋めて目を閉じる

子供の早い鼓動が聞こえる
可愛らしい寝息も聞こえる
少し高い体温も感じる
小さな足の先は冷たい
右手で背中を抱き左手で小さな足を温めてやる

去年、年越しは起きてなかった冬獅郎だが、初詣に一緒に行って
冬獅郎に何をお願いしたんだ?と軽く聞いてみたら

『いちごとけっこんしたいっておねがいした』

と なんだかすごいお願いをされていた

どうしてだ?と聞いてみると

『けっこんしたらずっといっしょにいていいんだろ?』

なんとも子供らしいベタな答え
でもオレはにやける顔を抑えられなかったのを覚えている

(今年はなんてお願いするんだろうなこいつ…)

腕の中の小さなあったかい生き物を抱きしめながらオレも少しずつ眠りに落ちて行った……

後日 初詣にいった冬獅郎がしたお願いは

『いちごをおよめさんにする』

だった…

およめさんはおいしいご飯を作ってくれる人とどこからか覚えてきたらしい

ま…それでもいっか

 

終わる…

 

なんだか本当に趣味丸出しですいません
とりあえず…ちっちゃい子が好きです
ヒツが小さければ文句ないですw