『これ、どんだけ食べてもいいのか?1』

『なんだコレ?』

一護とデート中に冬獅郎が見つけたポスターには

『デザートバイキング 
  ケーキ、フルーツ、焼き菓子等
  人気スイーツが食べ放題!』

と書かれていて、美味しそうなスイーツの写真がたくさん載っていた

『ん?ああ食い放題か?』
『食い放題?どんだけ食べてもいいってことか?』
『おう、最初に金払っちまって、2時間食い放題ってやつだな』
『ふー…ん』
『なんだ?冬獅郎いきたいのか?
『べ…別に!』

と言う冬獅郎だったけど、瞳がキラキラ輝いて、目がポスターから離れないようだ
ポスターにはおいしそうなケーキやドーナツ、冬獅郎の大好きなプリンやら
苺やら、見た事もない果物やお菓子まで目が痛い位にぎゅうぎゅうで写真に
写っていて、冬獅郎はごくんっと喉がなってしまうのを押さえられない

『じゃあ、さっき昼くったばっかだし……来週超腹減らして来ようぜ?』
『え…あ、ああ…』

冬獅郎は少しだけ残念そう…
しばらくポスターを眺めていたけど、今日中に冬獅郎の冬用の手袋買ってしまいたかったから、一護はポスターを小さくしただけのチラシを持って来て冬獅郎に手渡した

『ほら!これでとりあえずガマンしろ?』
『い…いらねぇよ!』
『いいから持ってろよ』
『……』

それから一週間毎日チラシ眺めて過ごした冬獅郎だった
(これ…全部どんだけ食べてもいいのか…)
早く週末にならないかとポーカーフェイスを装いつつも
嬉しそうな雰囲気は周りに伝わってしまうもので

『あら?隊長?なんかいいことでもあったんですか?』
『あ?別に?それよりはやくそれ8番隊に届けてきてくれ!』
『はぁーい』

やる気の無い返事を残して副官が執務室を出て行くと
冬獅郎はおもむろに引き出しから例のチラシを出して

(あと2日…)

と毎日指折り数えては頬を緩ませていた

そして
次の週末、一護と買った手袋をしっかりはめて

『おい!早くしろよ一護!腹減って死ぬ!』
『わーったよ!ちっと待てって!』

珍しく一護をせかして電車に乗って先週と同じショッピングモールへ向かう
あまり電車に乗ることの無い冬獅郎は居心地が悪そうだ

30分程電車に揺られ、駅に降り立つ
ホームにぴゅうっと冷たい風が吹き込んでくる

『うわ!さみーな!冬獅郎!早く行こうぜ!』
『あぁ』

暖かいショッピングモールに入り
早速レストランへ向かう
心なしか急ぎ足な冬獅郎に自然と笑みがこぼれるのを一護は押さえられない

『ここだここだ』
『おぅ…』

先週眺めるだけで終わったポスターの脇の入り口から中を覗いてみた

『…(すっげー)』
『どした?冬獅郎?』
『いや…別に』

ちらっと見えたスイーツ達に心が躍る
冬獅郎の想像以上だった

店内はたくさんのお客さんでにぎわっていて、
でも二人が案内されたのは運良くたくさんのデザート達が並ぶテーブルのそばの席だった
テーブルから溢れんばかりのフルーツに冬獅郎の目が釘付けになっていて本当に可愛い奴…と一護はこっそり思う

『…これ、いくつ食べてもいいのか?』
『もちろん!冬獅郎の好きなだけ食えよ』
『お…おう…』

おっきな目をおっきく見開いて、あっちみたりこっちみたり落ち着かない様子の冬獅郎
涎をたらさんばかりの半開きのかわいいお口
一護は苦笑やら微笑ましいやらで…

『冬獅郎?ほら!取りにいこうぜ!』
『うん』

すっかり普通の子供みたいになってしまった自分の恋人の肩に手を添えて
目の前のケーキに今にも飛びつきそうな冬獅郎をさり気なく牽制しつつ
大きなお皿を渡してあげて

『落とすなよ?』
『うん』

どうやらもう一護の声は聞こえていない